かぜにかかったことのない人はいないと思いますが、
医学の世界ではかぜのことは実はあまりよくわかっていません。
咳や鼻水、のどの痛み、頭痛、節々の痛み、
おなかの調子がくずれるなど様々な症状があります。
自然に治る病気で、早く治すための特別な薬はなく、
症状を和らげる薬をいくつか使いながら治るのを待つ病気です。
漢方薬による治療もあります。
食事や睡眠をしっかりと取り、無理をせず養生するのが大事だと思います。
かぜのときの治療でよく誤解されているのは点滴と抗生剤だと思います。
ひどく脱水の場合以外は点滴で早く治るというわけではなく、
水分がとれる場合は口から飲むのが自然で、
水分補給という意味では針を刺す痛みもなく
点滴と同じくらいの効果が期待できます。
抗生剤については、かぜの原因は9割以上ウイルスで、
その他の細菌によるかぜの中でも抗生剤が有効なかぜは1種類、
溶連菌扁桃炎だけです。
抗生剤はウイルスには無効のため、かぜに使うと効かないばかりか、
薬による副作用で下痢や発疹がでることもありますし、
抗生剤が効きにくい耐性菌が出来やすくなり、
本当に抗生剤が必要な病気にかかった時に困ることがあります。
溶連菌以外の細菌によるかぜに対しても、
抗生剤は有効ではないとされています。
かぜの症状があった場合にご自宅で抗生剤を内服してから来院される方もいますが、
本当に溶連菌がいた場合に、
内服していた抗生剤のために検査しても溶連菌がでてこず、
治療が不十分になる可能性もあります。
かぜ症状で受診される前には抗生剤は内服しないようにお願いします。
溶連菌扁桃炎以外にもかぜと似た症状となる病気は多数あり、
咽頭結膜熱(プール熱)、インフルエンザ、急性副鼻腔炎(蓄膿症)、
甲状腺炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、肺炎などがあります。
かぜ症状で受診された場合は、症状をお聞きしたのちに診察・検査を行い、
これらのかぜと似た病気ではないことをチェックして、
かぜだろうと診断します。
これらのかぜに似たその他の病気の場合は、
治療方法や養生の仕方がかぜと異なってくるため、
かぜか、かぜと似た他の病気かを区別するために、
かぜのような症状があるときはお気軽に受診して下さい。